2026/02/10

いちご新聞3月号|いちごの王さまからのメッセージ

やなせたかしさんの詩集『愛する歌』が60年ぶりに復刻します。

 いちごメイトのみなさん、毎日元気に勉強やお仕事を頑張っていますか?
 王さまは、昨年の秋にお庭に植えたチューリップの球根から、今朝、小さな芽が出ているのを見つけて嬉しくなりました。何色のお花が咲くのか、今からとても楽しみです。冬の間は寒くて出来なかったお散歩もそろそろ再開しようかなと考えています。

 

 今日はみなさんにお知らせがあります。やなせたかしさんの詩集『愛する歌』の復刻版が60年ぶりに作られることになったのです。『愛する歌』のことを知らないいちごメイトのために、ここで説明しましょう。

 

 1966年、サンリオが「山梨シルクセンター」というまだ前身の社名だった頃、初めて自社で企画して世の中に出版した本が、やなせたかしさんの『愛する歌』という詩集でした。
 やなせたかしさんは当時、百貨店の三越の宣伝部でお仕事をしていました。王さまはそこでやなせたかしさんと知り合いました。ある日、やなせたかしさんの自宅で「辻さん、僕は詩を書くんだよ」と鉛筆書きの詩がいっぱい書いてある紙を束ねて、ただ端っこを留めただけのメモ帳みたいなものを見せてくれました。
 王さまはその場で1つ1つの詩を読んでみたら、そこには、王さまがそれまでに読んできた有名な詩人の詩とはまるで違う、やなせたかしさんらしい独特な詩の世界が広がっていました。王さまはすっかり、その世界に引き込まれ、こう叫んでいました。
 「やなせさん、これは抒情詩だよ。素晴らしいから世の中に出そう。僕が本にするよ。」

 

 当時、山梨シルクセンターはサンダルや身の回りの雑貨などを扱っている小さな会社でした。“出版社でもないのに、いきなり本にするなんて、この人はいったい何を言っているんだろう?”と思ったと、やなせたかしさんは後に語っています。

 

 でも、その時の王さまはとにかく、みんなにやなせたかしさんの詩を読んでもらいたかったのです。内気なやなせたかしさんがこっそり見せてくれた、数々のキラキラした詩を世の中に出すのは、自分の役目だと思いました。
 それから、王さまはどうすれば本を出すことが出来るのか、いろんな人に聞いて回りました。何も知らないのに詩集本を出版して書店に並べようというのですから、王さまはみんなから変な人だと思われました。でも、王さまの熱意を理解して、協力してくれる人もいて、なんとか出版部という部門を作り、1966年9月に『愛する歌』を出版することが出来ました。
 『愛する歌』は、王さまの想像以上に若い女性を中心に人気を博してどんどん増刷し、第5集まで続くことになるのです。

 

 王さまは今も、印刷所で『愛する歌』が刷り上がった時の嬉しかった気持ちを忘れていません。王さまが持っている初版の『愛する歌』は、読み込んでボロボロで表紙は変色してしまっているけれど、この春オープンする「山梨いちごの王さまミュージアム」に展示することにしました。だって、王さまの大切な記念の本ですから。

 

 天国のやなせたかしさんに「無名だった僕たちが手探りで出版したこの詩集が、なんと60年ぶりに復刻することになったよ。あの頃の僕たちには信じられない話だね。人生って面白いね」って伝えたいです。
 やなせたかしさんもきっと『愛する歌』の復刻をとても喜んでくれていることでしょう。

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