トップメッセージ

代表取締役会長 辻信太郎

代表取締役会長
辻信太郎

 「みんなが仲良く助け合って生きていける幸せな世界を作りたい」と、私がこのサンリオのソーシャルコミュニケーションビジネスを創業してから、今年(2020年)8月10日で60年が経ちました。サンリオのビジネスが今日の形になるまでの60年間には、実に多くの出会いがあったことを改めて思い返しています。

 今から70年前、大学を卒業したばかりだった頃に、私は新宿の映画館でディズニーが作った『ファンタジア』を見て、 大変感激しました。そして、“私もいつか、このような素晴らしい映画を作りたい”と強く思うようになりました。

 その後、サンリオを創業した私は、 1974年に映画事業を立ち上げました。

 ロスアンジェルスに映画制作・配給会社「サンリオフィルム」を設立し、アメリカ人スタッフを雇い、丸4年の歳月をかけて アニメーション映画『メタモフォシス』を制作しました。『メタモフォシス』は、当時、まだ日本人の映画作品を上映したことがなかった米国一流映画館、ハリウッドのチャイニーズシアターやウエストウッドのビレッジ劇場で公開されて大変話題になりました。

 また、1977年に公開した『愛のファミリー』は、アメリカでベトナム戦争孤児達と暮らすデボルトファミリーを撮ったドキュメンタリー映画で、この作品は第50回 アカデミー賞(長編ドキュメンタリー部門賞)を受賞しました。この『愛のファミリー』を制作することになったのは、 スヌーピーの作者であるシュルツさんとの交流があったからでした。

 サンリオを設立した当初は、いちごのデザインややなせたかしさん、水森亜土さん、田村セツコさんにイラストを描いてもらって、それを陶器などに付けて小さな贈り物として販売をしていましたが、可愛いギフトには可愛い絵が必要だと考えて、徐々にハローキティやリトルツインスターズ、マイメロディなどの自社キャラクターを開発するようになり、それらが次々と人気が出始めていた頃のことです。

 ある日、米国行きの飛行機に乗ると アメリカ人のスチュワーデスが私に「アメリカでもニューヨークタイムズに掲載されているピーナッツという漫画のキャラクターが人気ですよ。作者はサンフランシスコ在住のシュルツさんという人です」と教えてくれました。

 そこで、私と当時の専務(荻洲専務)でさっそく、作者のチャールズ・シュルツさんに会いに行くことにしました。

 急に訪問した日本人の私達をシュルツさんは快く出迎えてくれて、そこから交流が始まりました。当時、シュルツさんが新聞に連載していた人気漫画『ピーナッツ』は、チャーリーブラウンとルーシーが主人公で、スヌーピーはチャーリーブラウンが飼っている脇役の犬という存在に過ぎませんでした。

 日本ではハローキティやマイメロディが爆発的に人気が出ていたので、私と 荻洲専務はシュルツさんに、「この犬を主人公にした方が人気が出ますよ」という話をしました。シュルツさんは私達と話したことをきっかけにスヌーピーを主役にしたり、ウッドストックも頻繁に登場させるようになりました。そして、予想通り、スヌーピーは人気者になっていきました。日本ではまだ知名度は高くなかったスヌーピーでしたが、サンリオはシュルツさんとの関係もあり、いち早く国内でギフト商品やグリーティングカードを発売しました。1970年には、やなせたかしさんの翻訳で4冊のミニギフトブックを出版しています。

 そのシュルツさんが、ある時、アメリカにベトナム戦争孤児を大勢引き取って家族として暮らしているデボルトさんという家族のドキュメンタリー映画の製作に協力してもらえないか?と頼んできました。デボルトさん一家の日常をとらえた『愛のファミリー』は世界で好評価を受けて、なんとアカデミー賞に輝いたのです。この快挙を当時の総理大臣 福田赳夫さんや中曽根康弘さんが高く評価してくれました。その後も『キタキツネ物語』や『アフリカ物語』、内閣総理大臣賞を受賞した『オオムラサキの詩』など上質な映画を製作し続け、私は35本の映画を世に送り出しました。

 もう一人、私がこのビジネスをしてきた中で忘れられない恩人が、米国ホールマーク社の創業者ドン・ホール氏です。 1969年、ホール氏から、「小さなギフトを贈ることでみんなが仲良くなるビジネスを考えたことは素晴らしいことだ。ただ、そこにメッセージカードをつけるともっといい」とカードを扱うことを勧められて、ホールマークの代理店となり、サンリオのビジネスはソーシャルコミュニケーションギフトカードビジネスとなりました。当時、グリーティングカードビジネスは儲からない事業と見られていましたが、私はグリーティングカードを儲けのためのものではなく「絆を深める証」と捉えていました。まさに私が望んでいた「人と人とを友情の輪で結ぶビジネス」に欠かせないものだと思ったのです。洗練されたデザイン、愛らしいキャラクター、心に響くメッセージ、手に取ると「おっ」と思わせる仕掛けが施されていたホールマークのグリーティングカードには、スモールギフトの企画のヒントになる要素がたくさんありました。

 ドン・ホール氏が勧めてくれたグリーティングカードの考えがあったからこそ、サンリオのビジネスは人々の心を打つものになることが出来たのだと思います。

 創業60年、サンリオは、これからも様々な人の出会いや手助けを受けながら、世界に一つだけのビジネス「ソーシャルコミュニケーションギフトカードビジネス」を株主の皆様と共に育て続けていく所存です。これからも応援の程、どうぞよろしくお願い致します。

代表取締役社長 辻朋邦

代表取締役社長
辻朋邦

 いつもサンリオを応援してくださり誠に有難うございます。

 昨年より猛威を振るっている新型コロナウイルスが収まらず、我々も非常に心苦しく、一刻も早くこの状況が改善されることを心より祈っています。

昨今デジタル化が進み、サンリオが大切にしている「人と人とのコミュニケーション」のあり方が変わってきています。そのような中、新型コロナウイルスの感染拡大により、改めてリアルでのコミュニケーションの大切さと当社のデジタル化を急速に推し進める必要性を実感しています。

 サンリオとしては、新型コロナウイルスの影響にも負けず進化していかなければなりません。

 そのため、今年5月に新中期経営計画を発表しました。この中期経営計画では、成長戦略、構造改革に加え、組織風土改革を柱に掲げています。過去の戦略においては実行力の不足という課題があったと捉え、成長戦略を確実に遂行するために組織風土改革に着手しました。

 今までの素晴らしい部分はしっかりと継承し、直さなければならない部分には十分に目を向け、捨てるものは捨て、丹念に創り直します。本中期経営計画は、サンリオグループ全体の実行力を最大化させ成長していく大きな一歩となります。

 サンリオは創業当初よりソーシャルコミュニケーションを中心に、人と人とをつなぎ世界中みんなに仲良しの輪を広めていくビジネスを行って参りました。その素晴らしい理念をしっかり継承しながら、一人でも多くの人を笑顔にし、世界中に幸せの輪を広げていく「One World, Connecting Smiles.」のビジョンを掲げ、世界中の人たち一人一人と笑顔を共に創り上げる、すなわち「共創」していきたいと考えています。

 新型コロナウイルスが発生してから約一年半、皆様も色々な想いを感じられてきたことと思います。皆様が少しでも笑顔になり、大切な方や周りの方との仲良しの輪が広がり、そこに幸せの瞬間が生まれるよう、我々サンリオはキャラクターやエンターテイメントへの新たな価値提供を目指し続けます。

 改めまして、株主の皆様には日頃から多大なる応援をいただいておりますこと、感謝申し上げます。

 今後ともサンリオ一同邁進して参りますので、どうか温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。

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